突然ですが、皆様の会社の経営理念にはどの様な内容が掲げられておりますでしょうか?
経営理念とは、経営において大切にしている基本的な考え方を明文化したもので、企業活動において守るべきポリシーというべきものです。経営理念は会社が一丸となって仕事をすることにおいて、重要な理念となっています。
ですが、現在中小企業を取り巻く経営環境は厳しく、従来の方法や思考だけで乗り切ることが難しくなっています。そこで、世の中の変化を捉えて、発想の転換を図り、現代的に経営理念を変えることで、新たな事業展開や行動を生み、事業の拡大に成功した企業があります。
以下2つの事例をご紹介します。
1.会社Aの場合
会社Aは明治時代にスタートし、害虫防除や腐朽対策の事業を行っていた会社です。
同社の転機は現社長が20年以上前に就任したことでした。就任後に発生した、阪神淡路大震災では、多くの木造住宅が倒壊し、中でも害虫による腐朽被害井あっていた建物の約8割が全半壊してしまいます。これを受け、現社長は「本来人が安心してくらせる住まいによって人命が失われることがあってはならない」と思いを強くしていきました。
同社は、顧問税理士からのアドバイスや創業以来の歴史を振り返り、「害虫防除が事業目的ではなく、住環境や社会インフラの維持・設備を通じて社会に役立つことが事業目的である」という思いに至ります。
その結果、経営理念を変更し、害虫防除を中心とした事業から、”住環境を育む会社”へと脱皮していきました。現在同社は、住居の新築、メンテナンス、リフォーム、耐震補強など幅広い事業を展開しています。
2.会社Bの場合
会社Bはゴミを捨てる時代を終わらせてリサイクルの時代にしたいと「ダイオキシン対策焼却施設」を稼働させました。ですが、その矢先「野菜からダイオキシンが検出される」という報道が起こります。同社の施設が原因ではありませんでしたが、住民から強いバッシングを受け、同社は、最新鋭の焼却炉を廃炉にするという苦渋の決断をします。それは年商の多くを稼ぐ焼却事業からの撤退でした。
それでもバッシングが止まない中、現社長が社長職の引継ぎを決意します。現社長はこれまでなかった経営理念を作成し、リサイクル事業への特化に取り組みました。全天候型屋内プラントにして、騒音、振動、粉塵などを防ぐとともに、本社を近代的なビルに建て替えイメージを一新しました。また、住民の声に応えて内部も一般公開しました。
資源再生事業は、同社使命のもと、産廃の分別技術の開発によって、きわめて高い再資源化率を達成するリサイクルメーカーへと転身と遂げました。
いかがでしたか。こちらの2社は経営理念を現代的に変えることで、事業の拡大に成功しました。
これを機に経営理念をもう一度見直す機会にしてみてはいかがでしょうか。