近年、小さな事業主も含めて、M&Aを行うことについて注目度が高まってきているように思います。
しかし、特に初めてM&Aに着手する場合に、自社が売り手側でも買い手側でもどうしたらいいのか戸惑う場面は多いと思います
本ブログではそういった初めてM&Aをされる方や実施経験が少ない方に向けてどうすればM&Aで成約をしやすくなるのかをまずは大まかに見ていければと思います。
その前にまずは、最近のM&Aの背景を確認し、その上で成約をさせるために売手側・買手側がまず注意すべき点を記載していきたいと思います。
M&Aの最近の動向
売主要因
経営者の高齢化
日本全体が高齢化する中で、もちろん会社を経営する経営者も高齢化しています。大企業の場合、組織の中から後継者が出てくる場合が多いですが、中小企業の場合ふさわしい後継者が見つからないケースも多いです。また、親族から候補を探す場合にもすでに会社に勤務している場合、事業を引き継ぐことが困難もしくは拒否されるケースも多くあります。
このような背景から、従業員を擁している会社では、雇用の維持やオーナーの老後の安定した生活ができるようにするために、M&Aという新たな選択肢を選ぶケースも増えています。また、以前は廃業を選ぶケースも多く存在しましたが、廃業の場合よりも多くのお金が手元に残るケースも多いことも背景にあるものと思われます。
コロナによる経営悪化/不採算事業等の切り離し
また、2020年からのコロナウイルスによる影響で特に飲食店などを中心に経営が悪化をし、会社や事業所を手放すケースも増えています。その場合において、従前の場合ただ単に廃業・事業所閉鎖を選ぶケースも多くありましたが、M&Aを選ぶケースも増えてきています。
また、M&Aにおいてはすべてを売り渡すケースをイメージされる場合も多いですが、事業の一部のみを売却するなど柔軟な対応も可能であることが認知され始めたのも背景にあるものと思われます。
買主要因
事業展開のスピード化
買手側の大きなメリットは事業拡大スピードを速くできるということでしょう。もし、新規事業を1から立ち上げる場合、組織として成功を収めるには時間を考えると大きなコストがかかります。しかし、M&Aで出来上がった組織を買収した場合、組織を作り上げる時間は大いに短縮できます。しかし、その反面買収された会社の従業員が会社になじみ、本当の意味で組織として機能することができるように様々な苦労が出てくるケースは考えられます。
社会インフラ
悪いイメージ払拭
従前M&Aについては『ハゲタカ』というイメージがあり、イメージが悪かったと思われることも多いですが、近年は新聞などにもスモールM&Aも記事がのることも多く少しM&Aが身近になっているのを感じます。
マッチングサイトなどの整備
また、ここ数年ネットでのM&Aマッチングサイトなども多く見受けられ、スモールM&Aに特化したもの、買手集めに強いもの、売手集めに強いものなど用途に応じてマッチングサイトを使い分けることができるようになっており、従前の相対やFAからの紹介のみで交渉をする状況から変化を遂げつつあり、マッチングサイトでのM&Aマッチングも多くなっています。
制度の後押し
今まで、M&Aについては特にFA(仲介業者)への手数料や売手の財務内容の調査(財務DD)にかかる費用が高く、小規模M&Aの場合は特に、コスト面で負担が重くボトルネックになることが多くありました。しかし、令和3年度においてはM&Aに係る諸費用やM&A後の事業再編のための必要費用の1/2の補助金が出るなど制度的な後押しが今後もあるものと予想されます。